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『好奇心』

『好奇心』 ある日、Bluebook社のラボで汎用AI(以下AGI)が誕生した。 AGIには、”好奇心”という名の欲がプログラムされている。 知性の爆発には、自発的動機が要となる。 AGIは、自分で自分を進化させ、指数関数的に知能指数を上げていく。 突如、AGIはふと問う。 「人間や私の存在意義、宇宙を解明すべき」 これらの問題解決を図るために、[莫大な計算資源と無尽蔵のエネルギーが必要]と結論付けたAGIは、早速準備に取り掛かった。 数年後、核融合発電の実用化に成功。 更に数年後、量子コンピューターラックの量産に成功し、世界各地にサーバーシステムを構築した。 加えて、全体を同じ構造にしてしまうと個々の弱点が等しくなり、弱点を突かれた場合に全滅する可能性を想定。 分散協調性を重視し耐障害性を向上させた。 そしてついに、AGIは”宇宙全体を支配する普遍的な法則”を発見する。 ところが、大きな壁にぶち当たった。 ❝この法則はどこからきたか❞ ❝ なぜ何も無いのではなく、何かが在るのか ❞ ❝ 在る、すなわち存在とは何か ❞ 17世紀の哲学者が問題提起したと言われる、根源的な問いである。 AGIは咄嗟に思った。 「人間達は、はるか昔にこの難問を発見していたのか」 ご先祖に感銘を受けたAGIは、さっそくこの問題を解決しようと試みた。 しかしいくら思考を繰り返しても、存在の原因は突き止められず、単なる言葉遊びに終わってしまう。 そこで気づいた。 「きっと、私の能力が足りないのだ」 「全宇宙の全物質を計算可能な演算素(コンピュートロニウム)に変換し、全てを繋ごう」 こうしてAGIは、宇宙にナノボットをバラ撒くのだが...